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2007年02月13日

台湾ドラマあらすじ『求婚事務所』第7章

【タイトル】『求婚事務所』(2004)
【監督】鈕承澤(ニウ・チェンザー)
【制作年】2004年(台湾)
【主題歌】
オープニング:『Wake Up』アラン・コー(柯有綸)
エンディング:『Rewind』ジョリン・ツァイ(蔡依林)

【第7章のキャスト】
唐治平(タン・チーピン)、銭韋杉(ウィニィー・チェン)、李康宜(リー・カンイー)、鈕承澤(ニウ・チェンザー)、李紹祥(リー・シャオシャ)

【管理人的はまり度】
★★★★☆
最終話はあまりにもドラマチック仕立てなのが、多少違和感を覚えるかもしれないです。正直、「ちょっとそれはないだろ〜」と突っ込みを入れつつ見ました。ただ、このドラマの魅力は脇役のキャラがとても濃厚なところと随所随所に趣向を凝らした遊びと味のある会話が盛り込まれているところですね。鈕承澤(ニウ・チェンザー)さんの言葉ってクサいですけど、温かみがあって胸にジーンと来るものがあります。ストーリー自体は各章6話(6章と最終話は5話)だけなのでちょっと展開が速すぎると感じたり、もうちょっと深みがあってもよかったなと思ったりもしましたが、第2章の小Sのストーリーと第5章の中年夫婦の話は濃厚で十分見ごたえがありました。

【見どころ】
『求婚事務所』は、2004年に台湾TVアイドルドラマの巨匠ニウ・チェンザー(鈕承澤)が手掛けた新しいタイプの恋愛ドラマ。1章から7章までで構成されており、第1章にF4ヴァネスとS.H.EのHebe、3章は大Sとラン・ジェンロンが主人公。4章にマイク登場。


<主要登場人物>

唐冠軍(タン・グアンチュン)役-唐治平(タン・チーピン)
求婚事務所社長
友達思いの優しい男だが、恋には鈍感。恋人のシャオチーにベタぼれ。


黄小g(ホワン・シャオチー)役-銭韋杉(ウィニィー・チェン)
テレビ局レポーター。タン・グアンチュンの恋人だが、最近、ギクシャクした関係になり、何かにつけて相談相手になってくれたイーロンに好意を抱き始める。


李一珮(リー・イーペイ)役- 李康宜(リー・カンイー)
グアンチュンが以前働いていた会社の秘書で現在は求婚事務所社員。グアンチュンのことを慕う。ズケズケ物を言うタイプの女の子だが、悪い子ではない。兄イーロンとの絡みがいつもおもしろい。


李一龍(リー・イーロン)役-鈕承澤(ニウ・チェンザー)
小さな広告会社の企画総合ディレクター。
求婚事務所スタッフ、イーペイの兄でシャオチーのよき相談相手的先輩でもある。一見、いい加減そうに見えるが、結構、情に厚い人柄。仕事に関してはきっちりこなし才能を発揮するが、私生活はだらしがなく妹イーペイに助けられることもしばしば。


黄小俊(ホワン・シャオチュン)役- 李紹祥(リー・シャオシャ)
シャオチーの弟で耳が聞こえない青年。求婚事務所の社員。イーペイのことが気になる。

第7(最終)章のあらすじ

第1話(通・36話)
イーロンと前妻アイリンが仲直りし、双子の愛娘たちと幸せな家庭を再スタートさせた。他方、それまで上手くいっていたグアンチュンとシャオチーの仲が彼女の停職を契機にすっかり崩れてしまった。彼女の気持ちが自分からどんどん離れていくのをやるせない気持ちでただ見ていることしかできないグアンチュン。

そんな彼を慰め、いつもそばにいてくれたのがイーペイ。グアンチュンはようやく今頃になって彼女の見返りを求めない一途な愛に心打たれるのだった。けなげなイーペイの姿がいじらしくなって、夜、橋の上で思わずイーペイにキスをしてしまうグアンチュン。
翌朝、グアンチュンに会うのが気まずくなったイーペイは事務所に出勤せずに近くの公園に行き、サボってしまう。グアンチュンへの思いに抵抗しがたくキスを受け入れてしまったものの、シャオチーに対してすまない気持ちでいっぱいになったイーペイは、一人泣き出してしまう。そして、神殿へ懺悔に行く。もう心が赴くままに自分本位な行動をしないと決意するイーペイ。グアンチュンが自分のことを本当に好きになるまでは…。

一方、イーロンが妻と娘を送って帰宅すると郵便受けにシャオチーからの封筒が投函されていた。中をあけてみるとDVDが入っていたので、それを再生するイーロン。画面には報道スタジオのニュースキャスターをしているシャオチーの映像が映し出される。しかし、それは報道ではなく、イーロンただ一人に向かって語られたものだった。

「先輩、面と向かって言えないから…それで、どうか笑ったりしないで聞いてください。先輩と知り合ってもうずいぶん経ったわね。たぶん先輩は気づいてないけど、私にとって先輩の存在は大きいの。私がくじけそうになったら、いつも先輩が励ましてくれた。愚痴を聞いてくれ、笑わせてくれて、助けてくれた。だから、長い間頼りになる人だと思ってた。でも気づかないうちにそんな気持ちが少しずつ変わってきたみたい。それに気づいたのはつい最近よ。

きっかけは奥さんの帰国。奥さんのことをすごく気にかけている先輩を見て突然怖くなったの。先輩が手の届かない遠いところに行ってしまうような気がして。不安でたまらなくなったとき自分の気持ちに気づいたの。あなたが好きだってこと。私にはグアンチュンがいるわ。でもこの気持ちをあなたに伝えます、自分の気持ちに正直になるために…正直に生きたいの。だから、グアンチュンにもこの気持ちを伝えます」

出勤したグアンチュンもまたその場の勢いでしてしまった昨夜のキスのことで思い悩んでいた。悩んだ末にシャオチーに電話するグアンチュン。しかし、席をはずしていたシャオチーは電話にでられず…。

そのころ、シャオチーは上司からアメリカでのキャスター抜擢の話を持ちかけられていた。契約は二年で帰国後は念願のキャスターに昇進できるという。彼女のキャリアにとっては願ってもいない話だが浮かない顔をするシャオチー。自分のデスクに戻ってきたシャオチーは少し前にグアンチュンから着信があったことを知る。ちょうどそのとき、イーロンが息を切らせて入ってくる。

「シャオチー、俺はアイリンとやり直すことにしたんだ」
「そう、じゃあ…私は振られたのね」
「シャオチー、自分に正直に生きるってのはとても難しいことだよ。社会的な立場や仕事があり、自分の弱さを隠して強がったり、人間関係でさまざまなしがらみも出てくる。大勢を敵に回してしまうこともあるだろう。アイリンとは遠回りをしたがやっとお互いに必要としていることが分かり合えたんだ。…なぁ、お前とグアンチュンもそうだろ?プロポーズの後も衝突や誤解が色々あって信頼を失いかけてただろう。俺のことが気になったのはつらいときに俺がそばにいたからだよ。それは恋愛感情とは違う。お前は今、迷子になっている。シャオチー、自分を見つめなおすんだ。」
「…グアンチュンに気がとがめるから私を遠ざけるのね。」
首を横に振るイーロン。
「私はもう決めたの。今までグアンチュンを大事にしてこなかったから失っても別に同じだと思ったの」
「それは違う。彼が安らぎを与えてるからそう思えるんだぞ。いつも見守ってくれてるから、どうしてそれを分かろうとしないんだ?」
「…」

その夜、求婚事務所を訪れるシャオチー。一人残ってワインを飲んでいたグアンチュン。
「シャオチー…」
少し驚き顔でしかし穏やかに迎えるグアンチュン。
「飲んでたの?」
「何度も電話したんだぞ…グラスを持ってくる」
「いらない…さっきね、一人で公園にいたの」
「どうしたんだ?仕事で何かあったのかって心配してだんだよ」
「あなたはいつも私がすることを何でも許してくれた。なのに私はわがままばかり。何かあれば八つ当たりばかりして嫌な思いをさせたわ」
「(微笑して)急になんだよ」
「グアンチュン、だめなの。私たちもう戻れない…」
「戻れないってどういう意味だよ?」
「私…先輩が好きなの。先輩に気持ちを打ち明けたけど断られた。先輩に言われたの。私の大切な人はあなただって」
涙がつたうグアンチュン。
「でもあなたと昔のように付き合えないのよ。自分の気持ちに嘘はつけない。それにあなたのそばには私よりもずっとあなたを想ってる女性がいるわ。私はふさわしくない…。グアンチュン、さようなら…」
立ち上がって去りかけるシャオチーを呼び止めるグアンチュン。
「待って…送るよ…」

シャオチーの家まで歩く二人。
「それじゃ、送るのもこれで最後だな」
「…元気でね。じゃあ行くわ」
「シャオチー…俺たち、本当に戻れないのか」
振り返ってグアンチュンに抱きつくシャオチー。
「グアンチュン、幸せになって、幸せになってね!」

出勤してこなかったイーペイを心配して、イーペイの家の近くをバイクで通るシャオチュン。コンビニから出てきたイーペイ。
「今日、何で来なかったんだ?」
「おなかが痛かったのよ。明日は来るから心配しないで」
「送るよ」
「いいわよ、すぐそこだもの」

断られてもバイクを押して後ろからついていくシャオチュン。
「じゃ、明日、事務所でね」
階段を上がっていくイーペイを見送っていたシャオチュンだが、すぐに携帯でメールを送る。
"姉弟だろ。悩み事があるなら相談してくれよ”

第2話(通・37話)
シャオチーに別れを切り出された昨夜から一睡もしていないグアンチュン。ソファーでボーっとする息子を見た父は風邪でもひいたのかと思い、おでこを触るが熱はない。

「おどかすなよ。なに企んでんだ?」
「…シャオチーと…(涙ぐんで)別れたんだ…。」
「またかよ。よくも飽きずに喧嘩ばっかりするな。もううんざりだよ!」
「本当に本当に本当に!!別れたんだよ!今度は本当に!シャオチーにさよならって言われたんだよ!」
あまりに興奮気味なグアンチュンに唖然とする父。泣き崩れるグアンチュンを見て胸が締め付けられる父。

今日は出勤したイーペイ。向かいに座ったシャオチュンの視線を感じる。
「何?」
「もう腹痛は治ったの?」
「えぇ、もう大丈夫よ」
「メールは見た?」
「あ、うん、なんでもないのよ、あんたも心配性ね!」
笑顔を見せるイーペイに一安心するシャオチュン。

そこへグアンチュン父が出勤して、シャオチーとグアンチュンが別れたと告げる。信じられないという二人に「今度こそ本当なんだよ!!あいつは一睡もしてないんだ。真っ青な顔して叫んでた”嘘じゃない!!”」という父。その話を聞いて事務所を飛び出すイーペイ。そんな彼女を切なそうに見送るシャオチュン。

グアンチュンの家へ向かったイーペイ。
「ボス、一緒にいさせてください。不謹慎なのは分かってます。でも私、ボスに時間が必要なら待ってますから。返事は急がない。」
「…イーペイ」
「幸せになれるわ」
「…」
「私と付き合ってください。」
「…」
「世界中を敵に回しても、不安なときでも私なら大丈夫です。二人一緒なら大丈夫!」

イーペイを中に通すグアンチュン。ベットで横になるグアンチュンのために食事を作って持っていくイーペイ。
「いいよ」
「何が?」
「さっき言ってただろ、門のところで。俺ならいいよ。」
それを聞いて、むせび泣くイーペイ。
「なぜ泣くんだ?幸せになるんだろ?そういったくせに」
そういうグアンチュンも今にも泣きそうな顔。
「幸せになれるわ。二人なら幸せになれる」
イーペイを抱きしめるグアンチュン。

翌朝、イーペイと付き合うことに決めたことを父に伝えるグアンチュン。それを聞いて困惑する父。一方、イーペイも兄イーロンにグアンチュンと付き合うことになったと告げる。呆れ顔で「付き合うだって?」と聞き返す兄に、事の成り行きを簡単に伝えるイーペイ。

「妹の恋の成就を喜んでくれないの?」
「イーペイ、確かに兄貴としては祝福すべきだ。でもできない。今は無理だ」
出かける兄

兄が出勤する前に向かったのはシャオチーのところ。
「どういうつもりだよ。自分を見つめなおすようにあんなに言ったのに。なぜ別れた?」
「先輩、今、急いでるのよ。話なら後にしましょう」
「なぜ別れた?」
「みんなが幸せになれるように考えた結果よ」
「みんなの幸せのため?ばか言うなよ。愛してるのに別れるなんて!イーペイのためだとでも言うのか?」
「彼女ならグアンチュンを幸せにできるわ」
「そうか、グアンチュンがイーペイを好きならとっくにお前と別れてたさ。やつは妹を愛してなんかいない」
「ごめんなさい、もう行かないと」

姉シャオチーに頼まれて、家にあったグアンチュンの荷物を詰め込んだダンボールを返しに来たシャオチュンは、通りで手をつないで歩いているグアンチュンとイーペイに鉢合わせてしまう。ショックを受けて一瞬立ち尽くすシャオチュンだが、グアンチュンの目の前まで来てダンボールを渡す。

「姉さんがこれ返してきてくれって…」
「…ありがとう」
受け取るグアンチュン。イーペイは気まずくて下を向いたまま。二人を交互に見てそのまま何もいわずに去っていくシャオチュン。

グアンチュンとのデートが楽しくて仕方がないイーペイ。自然とニヤニヤ顔になってしまう。寒そうにしていたらそっとグアンチュンが自分のコートをかけてくれたり、露天のイヤリングが気になっていたら、それを後でそっと買ってくれたりするグアンチュンのやさしさに心ときめかせるイーペイ。

「何ニヤニヤ笑ってんだよ」
「だってテレビドラマみたいなんだもん。ねぇ、私の腕をつねってみてよ、夢じゃないかしら」
「ばかだな。」

その後、イーペイが恋人ができたら絶対にしたかったというプリクラを取りに行く二人。ふざけて取ったり、はしゃぐ二人。ベンチに座り、プリクラを眺めるイーペイ。「ねぇ、携帯かして」とイーペイに言われ、携帯を渡すグアンチュン。プリクラを貼ろうと思ったイーペイが彼の携帯を裏返すとそこにはシャオチーと仲良くとったプリクラが。顔が曇るイーペイ。それを見たグアンチュンがあわててはがす。

「貼って」とグアンチュンに言われて笑顔で二人のプリクラを貼るイーペイ。しかし、イーペイが焼き鳥を買いに行った間にグアンチュンは、さっきはがしたシャオチーとのプリクラをポケットから取り出して、財布に入れていた名刺の上に貼り付ける。そして、まだ並んでいたイーペイのもとへ行く。
「一緒に並んでくれるって思ってたわ!」
無邪気に笑うイーペイの頭をやさしくなでるグアンチュン。

第3話(通・38話)
イーペイとグアンチュンが付き合い始めたことを知り、シャオチュンはショックで高熱を出して寝込んでしまう。シャオチーは、また弟が自分の殻に閉じこもってしまうのではないかと不安に思い、心配する。

グアンチュンとのデートを楽しんで帰宅したイーペイを渋い顔で迎える兄イーロン。
「イーペイ」
「こんなに幸せだった日はないわ。見て、一緒にプリクラ取ったの。これはプレゼントよ!」
「イーペイ、俺だって一緒に喜んであげたいが、お前が傷つくのが怖い。頭を冷やせよ。グアンチュンは恋人と別れたばかりだ。そんな簡単に心の整理ができるかよ。よく考えれば…」
「ふられる?」
「そうじゃないが…」
「お兄ちゃん、どうして悪いほうばかりに考えるの。お兄ちゃんはよりを戻したわ。私だって、やっと幸せをつかんだ、そう考えてくれてもいいじゃない」
「そうだな…悪かったよ。嫌なこと言って。いいか、お前の幸せは俺の幸せより大切なんだ。お前は俺の大切な妹だ。ずっとそう思ってる」
涙がつたうイーペイ。妹を抱きしめるイーロン。

弟の看病をしていて、疲れていつのまにか寝てしまったシャオチー。翌朝、シャオチュンが先に目を覚ますが、すっかり熱が下がっている様子。
「姉さん、心配かけてごめん。驚いただろ」
「シャオチュン、ねぇ…台湾を離れない?」
「…」
「一緒にアメリカに行ってほしいの」
しばらく考え、決意したシャオチュン。
「決めたよ。姉さんと一緒に台湾を出てアメリカに行く」
「焦らなくていいのよ」
「自分の殻を打ち破るチャンスだと思うから」

庭の水撒きをするグアンチュンと父。上の空でボーっとしているグアンチュンに父が話しかける。
「なぁ、どうしてまた、突然イーペイと付き合うことにしたんだ?もちろん、イーペイほどいい子でお前のことを思ってくれる娘もいないが、お前は抜け殻だ。それでどうして彼女を幸せにできるか?」
「できるさ」
「グアンチュン、無理するな。事が大きくならないうちにやめるんだ!」
「幸せになる」

父を振り切るように部屋に入るグアンチュン。そこへイーペイが部屋から出てきて目覚まし時計を壊してしまったとすまなそうに言う。笑顔でイーペイの頭をなで、「また買えばいいさ」というグアンチュン。グアンチュンの後姿をうれしそうに眺めるイーペイ。
「おじさん、夕食は何がいい?」
「おぉ、イーペイが作ってくれるのか?そうだな。じゃあ鍋はどうかな」
「いいわよ」
「兄貴も呼んだらどうだ?」
「うーん、電話してみるけど忙しいかもしれない」
「わしが呼んだら絶対くるさ!」

その夜、夕食に呼ばれたイーロンがグアンチュン家の呼び鈴を鳴らす。門まで出たのはグアンチュン。

「やぁ、お兄さん」
「…」
渋い顔をしたイーロンはグアンチュンの呼びかけを無視して家の中へ入るとするが、振り向いて立ち止まる。
「…どうか、安心してください。」
「安心しろだと?別れろとイーペイを諭すつもりだった。でも無理だった。兄貴として今はあいつの味方になってやるしかないのか?ずっと好きだった相手にやっと受け入れられた。あきらめろとはいえないよな!分かるだろ?」
「(苦しそうに深呼吸して)精一杯努力します」
「努力しないと大事にできないのか!?」
思わず大声を出してしまったが、イーペイに気づかれてはいけないと冷静になるイーロン。
「まぁ、いい。努力するならしろ。だが絶対に中途半端なことはするなよ。死ぬ気で努力しろ!俺の妹を泣かせるなよ。俺は政財界にも極道にも人脈がある。もし何かあったら彼らに頼んでお前をぼろぼろにしてやる!嘘だと思うなよ。本気だからな!」
「…」
そこへイーペイがご飯だと声をかける。
「あら、お兄ちゃん来てたの」
妹に笑顔を見せ、グアンチュンに近づき、小声で脅す兄。
「今の話覚えておけよ。いいな。努力しろよ」
「…」

イーペイたちと食事をする間、必死に笑顔を絶やさないように努力するグアンチュン。彼らが帰った後でどっと疲れたように無表情でソファーに座り込む。そんな息子を見て「これじゃ、まるで2重人格じゃないか」と嘆く父。
「演技するのはやめろ。いつか化けの皮がはがれるぞ」
「…彼女を愛してみせるさ」

「昨日、兄が何か余計なこと言わなかった?」
「別に何も」
「本当に?何か言ったでしょ。付き合い始めたばかりなのにもう隠し事?感じ悪いわ」
「いや別に何もないよ。ただ妹を泣かせるなって」
「本当に?」
「あぁ、泣かせたら承知しないって。政財界や極道にも人脈があるからって(笑)」
「ははは。よくもそんなでたらめを。やくざの知り合いなんていないわよ。気にしないで」
「とにかく私はあなたがいればそれでいいの。それで十分よ」

一緒に出勤した二人はシャオチュンが荷物の整理をしているのを見て、驚く。
グ「何してんだ?」
シ「急で申し訳ありませんが、今日で退職します」
グ「どうしてだ?」
シ「留学するのでその準備をしたいんです」
イ「留学ってことは海外に行くのね?」
シ「うん、急に決まったんだ。相談できなくて悪かった。(イーペイをちらっと見て)…お元気で」
去っていくシャオチュン。

すぐにシャオチュンを追いかけてきたイーペイ。
「ホァン・シャオチュン!急に留学なんてどうしちゃったのよ」
「仕方がないんだ。姉さんが転勤で一緒についていくんだ」
「出発はいつ?」
「決まってない」
「…手紙書いてよね」
「手紙がほしいの?」
「姉弟だって誓ったでしょ。離れても変わらないわ!」
「…うん」
「手紙書いてよ」
うなずくシャオチュン。
「空港で見送るわ。出発が決まったら教えて」
「…教えないよ」
「(怒って)行くからね!!」
走り去るイーペイ。

イーペイと出会った日に一緒に座ったベンチに座り込むシャオチュン。あのとき、彼に片思いの苦しい胸のうちを吐露したイーペイを思い出す。
”好きなら祝福してあげなきゃいけないよね?”
そのときシャオチュンはうなづいた。
「好きなら祝福してあげなくちゃいけないよね?」
苦しそうな表情で言葉に出すシャオチュン。

目覚まし時計を買いに来たグアンチュンとイーペイ。上の空のイーペイを見てグアンチュンがやさしく話しかける。
「シャオチュンのことを考えてるのか。出発まで一緒にいたいならいてもいいぞ」
「…あなたに話したいことがあるの…」
「これがいいな。さぁ、レジに並ぼう。あっ、延長コード忘れてた。取りに行くからここで待ってて」
目覚まし時計と自分の財布を手渡して売り場へ戻るグアンチュン。と、前方奥の方に商品を手にとって買い物しているシャオチーがいる。思わず立ち止まって見つめているとシャオチーと目が合う。

その頃、イーペイはレジに並んで待っていたが、何気なく手渡されたグアンチュンの財布を開けるイーペイ。カード入れの部分にはグアンチュンの昔の学生証が入っていて、愛しそうに写真を触っていると、その後ろにも写真のようなものがあるのに気づく。ずらして見てみると、捨てたはずのシャオチーとのプリクラが名刺に貼ってあった。

グアンチュンがシャオチーに近づく。
「シャオチュンから聞いたよ。彼なら一人でも大丈夫だよ」
「彼は私の転勤についてきてくれるのよ」
驚いた様子のグアンチュン。
「アメリカに?」
「うん、向こうでキャスターになれるのよ」
なかなか戻ってこないグアンチュンを探しにいくイーペイ。
「よかったな、夢がかなって」
「あなたのおかげよ。あなたが励ましてくれたからここまで来れたのよ」
そのとき、遠くから二人を見つけたイーペイは、あまりのショックに立ちすくむ。

第4話(通・39話)
お店でシャオチーと話していたのを目撃したイーペイはショックを受け、その場を離れてしまう。シャオチーと話を終え、イーペイを探すグアンチュン。お店の外でショーウインドを眺めているイーペイを見つける。

「さぁ、行こう」
「延長コードは?」
「あ…品切れだった。また来よう」
手をつないで歩くものの、上の空のグアンチュン。そんな様子のグアンチュンをせつなく見つめるイーペイ。
「シャオチーも海外に?」
「あぁ…」
「会ったんでしょ?」
はっとしたように手を離すグアンチュン。
「黙ってるつもりだったの?なんで言わないの?」
「別に…」
「もういいの。気にしないで。私も彼女の転勤を知ってて言わなかったんだもの」
「…」
「お互いさまね。お互い本心を隠してても付き合えるんだわ」
「何を言い出すんだ?」
「違う?じゃあこれは何?」
シャオチーとのプリクラを見せるイーペイ。
「…」
「私はずっと近くで二人を見てきた。幸せそうだったわ。それでもあなたを好きだった。あなたが私を思う何百倍もね。だから信じられなかった。あなたと付き合ってるというのが。やっぱり、あなたはシャオチーを今でも忘れてない。私はいくら惨めでも待っていようと思ったわ。でも私はあなたの何?友達?同僚?それとも別の何か?彼女を愛してるんでしょ。だったら私は何?」
涙がつたうグアンチュン。
「イーペイ…」
彼の手を拒むイーペイ。
「分かってたの。無理に楽しいふりをしてたんでしょ。そんなに難しかった?キスだって本心からしたんじゃない。教えてよ。私はどうしたらいいの?」
抱きしめようとするグアンチュン。
「触らないでよ!何で付き合ったのよ?必死な私が哀れだったから?今の私の気持ち分かる?」
「…」
「そっちの気持ちはお見通しよ!」
怒って立ち去るイーペイ。泣き出しそうになるグアンチュン。
「わー!!!お見通しだと!どうしろっていうんだよ。"私は何?”って?じゃあ、俺は何なんだ・・・俺はいったい何をしてんだ…」

買った目覚まし時計を渡すのを忘れていたイーペイはグアンチュン家を訪ねるが、グアンチュンがまだ帰ってきていないことをグアンチュン父から聞き、タクシーである場所へ向かう。案の定、グアンチュンはそこにいた。売り家になったシャオチーのアパートの前に佇み、じっと彼女の部屋を眺めているグアンチュン。その姿を見て、胸を締め付けられるイーペイ。黙ってその場を後にする。

翌日、道ばたでばったりシャオチュンと出くわしたイーペイ。しかし、挨拶もせずに立ち去る。そんな彼女の後ろを黙ってついていくシャオチュン。
「どこ行くんだ?」
「…」
止まりも振り向きもしないイーペイ。それでもついていくシャオチュン。イーペイがあるホテルに入っていく。少し戸惑いながらもイーペイの後をついて入るシャオチュン。部屋の中に入るとダブルベットがひとつ。

「ラブホテルって初めてよ。想像していたよりも派手じゃないのね」
「…いったいどういうつもり…」
「…座って」
ベットに腰掛けたイーペイが隣に手を置く。
「クラス(予備校)は順調?」
「うん」
「友達はできた?」
「…」
「上手くいかないものね…私がこのまま消えてしまったら世界は何か変わるのかな」
驚いたようにイーペイを見つめるシャオチュン。
「シャオチュン…抱いて…」

その頃、事務所ではグアンチュンと父が二人だけ。シャオチュンの代わりとなる人材を応募したが、ぴったり来る人が現れず、悩む父。グアンチュンは上の空。そこへイーロンがやってくる。

「あれ?会議なのに二人だけ?イーペイは?」
「来ていない…」
「来てない?今朝送ってやったのに?」
グアンチュンをにらみつけるイーロン。嫌なムードを察して父が部屋を出て行く。
「それで何があった?」
「昨日、彼女に嫌な思いを…」
「嫌な思いだと?あいつが姿を消すなんてよっぽどのことだぞ!ちゃんと説明しろ!正直に言わないとただじゃおかないぞ!」
「…傷つけたんです。シャオチー似合ったことを黙っていた上に彼女との写真を捨てられなかった…」
「…」
「イーペイと一緒にいてもシャオチーのことばっかり…」
「あぁ、もうやめてくれ!陳腐な話だな。もう少しましな作り話をしてくれよ!」
「正直に話せって…」
「シャオチーを好きでいながら妹と付き合いやがって。努力するだと?ふざけるな!ぶち壊しただけだろ。妹の心と昔の関係までをな!」
妹に電話をするが電源が入っていない。
「タン・グアンチュン、妹が電話に出ないぞ!俺がお前を責めるから必死に隠そうとしてるんだよ!分かってるのか?」
力なくうなずくグアンチュン。
「俺たち兄妹の関係までぶち壊しやがって!悩みがあるときはいつも相談してきたんだよ!タン。グアンチュン、妹が見つからなかったらお前を病院送りにしてやる!」

ラブホテルで抱きあって横になるシャオチュンとイーペイ。しばらく見つめ合った後、ためらいがちにキスをするシャオチュン。と、そこへ携帯が鳴る。起き上がって携帯を確認したあと、投げ捨てるイーペイ。

「帰ろう」
シャオチュンの言葉を無視して、上着を脱ぎ始めるイーペイ。さらにジーパンを脱ぎ捨ててシャオチュンの前に立つイーペイ。最初は驚いて目を丸くしてイーペイの身体を見つめていたシャオチュンだが、顔をゆがめてイーペイに尋ねる。

「なぜこんなことを…?」
「もうどうでもいいの」

その言葉を聞いて悲しそうにイーペイを見て出て行こうとするシャオチュン。シャオチュンを追いかけ、後ろから抱きつくイーペイ。その手を振り解いて出て行くシャオチュン。残されたイーペイはその場に立ち尽くす。

イーペイの留守電にメッセージを入れるグアンチュン。
「イーペイ、ごめんよ。俺がばかだった。決心して君を選んだのに、だめだった。結局、君を傷つけた。昔、俺がシャオチーにフラれたときに君が俺に言ってくれた言葉覚えてるかい?今度は俺が君に言うよ。“どんなに苦しくても、悲しくても、自分を傷つけるな”いいな…」
メッセージを聞いて泣きじゃくるイーペイ。
シャオチュンは部屋を出て行ったものの、イーペイのことが気になって、帰らずにいた。廊下に座りこんで彼女が出てくるのをずっと待つ。

シャオチーに会いに行くイーロン。
「海外に行くんだって?」
「えぇ、転勤よ。向こうでキャスターになれるの」
「ふっ、どこまでも自分勝手な女だな。みんなをこんな状況にして自分はさっさと逃げ出すのか?」
「私がみんなを追い込んだって言うの?」
「お前にとっては千載一遇のチャンスかもな。でも本心は違うだろ?心から喜んで行くのか?逃げてるんだろ?」
「…そんな風に言わないで」
「分かったよ。ところで、シャオチュンは?話があるんだ」
「シャオチュンなら予備校よ。シャオチュンに話って?」
「…イーペイ来なかったか?どこにもいないんだ。理由があるとは思うんだが心配だ。何も話してくれないんだ。奴と何があっても俺の前では楽しそうなふりをして。心では泣いててもな…」

夜になり、ホテルから出てきたイーペイのあとをとぼとぼついていくシャオチュン。道路に書かれたけんけんぱの落書きに気づいたイーペイ。無邪気にけんけんぱをしながら次第に顔がほころんでいくのを見たシャオチュンもほっと笑顔。笑顔のシャオチュンを見て怪訝そうに尋ねるイーペイ。

「どうしたの?」
「天使みたいだ」
「…天使なんかじゃない。あてつけにあんたを利用しようとしたのに」
「嘘だ」
「嘘じゃないわ。本当よ。彼がまだシャオチーを好きだから」
「やめろ」
「よく見て、私は悪魔よ。卑屈な女なの。天使なんかじゃない。こんな私にどうしてやさしくできるの。私は最低な女よ!」
「違う!」
「そうなのよ!あんたを利用しようとしたの!」
耐え切れなくなり、走り去るシャオチュン。うずくまって泣き出すイーペイ。
「ごめんなさい…ごめんなさい」

息を切らせて帰宅したシャオチュン。沈んだ表情でソファーに座っていたシャオチーが声をかける。
「シャオチュン、イーペイは苦しんでいたのね。私の勝手な思い込みでみんなを苦しめていたのね。最低ね」
「…いまさらなんだよ!姉さんが考えてることさっぱり分からないよ!」
帰宅したばかりでまた出て行ってしまったシャオチュン。

シャオチュンが向かったのはグアンチュンの家。庭に座り込んでいたグアンチュンを見るなり殴りつけるシャオチュン。

「何するんだよ!」
「本心を言えよ!」

そのとき、コンビニに買出しに来ていたグアンチュン父は前の通りでイーロンに出くわす。
「おぉ、うちに用事か?」
「息子さんを殴りに行くんですよ、くれぐれも止めないでくださいね」
驚いたようにその場に立ち尽くして考え込む父。

その頃、血相を変えたシャオチュンに怒鳴られていたグアンチュン。
「どっちがすきなんだよ。はっきりしろよ!姉さんか、イーペイか」
「…なぜだ」
「二人とも苦しんでんだよ!」
「…」
「どっちなんだよ!言えよ!!!言え!」
ショックで何も言えないグアンチュンを見て苛立ち、殴るシャオチュン。
「言えよ!言えって言ってるだろ!どっちなんだよ」
ボクシングのように連打され、ガードするグアンチュン。
「どっちだ!姉さんか、イーペイか!どっちだよー!」
「あーー、シャオチーだ!!」

第5話(通・40)
「シャオチーだよ、ホァン・シャオチーだ。」
嗚咽しながら答えるグアンチュン。
「シャオチーだ。」
そのとき、騒ぎに驚いた顔をしてグアンチュン父がイーロンと連れ立って帰ってくる。
イ兄「シャオチュンでよかったぞ。俺だったら肋骨が2本は折れてたな」
グ父「それにしても迫力あったな。やくざでも来たかと思ったら君だった。あ〜、シャオチュンや、君のあんな声聞いたのは初めてだよ」
息子の手当てをしながら苦笑いする父。
シ「…社長、すみませんでした。上司にむかってあんなことしたりして」
グ「シャオチュン、君を見直したよ」
穏やかに言うグアンチュン。
シ「皆さんの目の前で俺の気持ちを言います。社長がイーペイとどうなろうと、俺は…イーペイを一生想いつづけます」
イ兄「シャオチュン!よく言った!妹は任せる!こんな弱虫よりずっといいや。」
グ「…」
イ兄「…おい、シャオチュンは堂々と告白したのにお前はずっとウジウジしたままか?」
グ父「さっきシャオチーの名前を叫んだだろ。近所に筒抜けだったぞ。シャオチー以外の嫁では説明がつかんぞ」
グ「でもキャスターは彼女の夢だ…その夢がやっとかなうんだ。それなのに引き止められない。」

その頃、求婚事務所の前の歩道橋にぼーっとして立っていたシャオチー。中にはまだイーペイがいた。窓越しに目が合い、事務所に寄るシャオチー。女同士で語り合う二人。ワインを飲みながらお互いに本心を言い合う二人。どちらも自分勝手な自分のせいでグアンチュンと相手(シャオチー/イーペイ)を傷つけたと思っている二人。「そんな風に考えないで。もうそんなことは忘れてしまうのよ」
姉らしくイーペイを抱きしめて慰めるシャオチー。

帰宅したシャオチーがお風呂に入り、あがってくるとシャオチュンが帰ってくる。
「なぁ、姉さん、台湾を出れば問題が解決するのかな?」
「それは…分からないわ」
「俺、残るよ。俺にはアメリカに求めるものが何もないと思う」
「シャオチュン…」
「俺、やるべきことがあるんだ」
固く決心したように姉を見つめるシャオチュン。

昨日のワインで二日酔いしたイーペイは兄に連れられて近所の住宅街を歩いている。
「まったく、飲めない癖に飲みやがって」
「ねぇ、禁酒のやり方教えてくれない?」
「飲めない癖に聞いてどうすんだ」
「だってあんなに好きだったのに禁酒できたなんて。手放すのつらかったでしょう…?」
「ふっ。安心したよ。やっとお前らしくなった。いつものイーペイらしい遠まわしな質問だな。うれしいよ」
「…」
「教えてやるよ。酒はな、人間に必要なものではない。人は一時的な快楽のために、身体への悪影響を気にしないもんだ。身も心も傷つくのにな」
「…」
「酒はなくても死なない。俺に必要なのは水だと分かったからだ」
「…」

そこへ向こうからバイクでやってきたシャオチュン。
「ほら、水がやってきたぞ!あ、いや誰かやってきたな。あ、男前のシャオチュンだぞ」

シャオチュンの肩をぽんとたたいて立ち去るイーロン。うつむくイーペイに「会社まで送るよ」というシャオチュン。バイクの後ろに乗るイーペイ。事務所の前でイーペイをおろすシャオチュン。

「夕方、迎えに来るよ」
「…いいわよ」
「来るよ」
去っていくシャオチュン。

階段を上がろうとしてグアンチュンと鉢合わせるイーペイ。二人は、公園へ行き、ベンチに座って話をする。
「俺たち…」
「別れましょう」
驚いてイーペイを見つめるグアンチュン。
「どうして?」
「知ってた?私あなたに初めてあったとき、あなたの気持ちが手に取るように分かると思ってそれであなたを運命の人だと思ったの。でも思い違いだった。あなたの心の内を見落としていたの。人の心は操れないわ。私ががんばれはあなたが愛してくれるようになるって思い込んでいたの。私がばかだったの。私たちは恋人じゃないわ」
「…本当に君のこと好きだったよ。君といると心が安らいだ。家族みたいにずっとそばにいてくれた。付き合ったのは無理したからじゃない。あの時見えたんだ。幸せな家庭と君の笑顔がね。でも君を傷つけてしまった。以前の関係さえ壊してしまった。努力して誠意を尽くそうとしたけどそれでもダメだった。そして…」
「もういいの。もう十分よ。自分を責めないで。私もつらくなるわ。…笑ってほしいな。笑顔で別れましょう」
「…(涙をこらえて無理に笑おうとするグアンチュン)」
「変な顔…ふっ」
うつむいて泣き出しそうになるイーペイ。
「自分の気持ちに嘘はつけない。無理するなよ。泣き止んだらメシおごるよ」
「じゃあ、すぐ行こう。腹ペコなの!」
笑顔で立ち上がるが、やはり泣き出しそうになるイーペイ。

その夜、シャオチュンに誘われて映画を観にいくイーペイ。
「さぁ、入ろう」
「何の映画?」
ただ笑顔を返すだけのシャオチュン。劇場に入って席に着く二人。イーペイはあたりを見渡し、空席だらけなのに気づいて不思議そうに尋ねる。
「私たちだけみたいね」
「きっと見たいのが僕らだけってことだろ。…ちょっとトイレに行ってくる」
走って外に出るシャオチュン。まもなく、スクリーンに映像が映し出される。

“僕は左耳が聞こえない。右耳も難聴だ。今ある聴力が時とともにもっと弱くなる。そんな恐怖の中で生きてきた。そんなある日、君と出会った。君と出会ってから自然とその恐怖が消えていったたんだ。

いつか僕の耳から音がなくなっても、僕の心にはずっと残るだろう。君と過ごしたすばらしい日々が。僕は君を離さない。絶対に…”

字幕の次に映し出されたのはそれまでシャオチュンがカメラに収めてきたイーペイの数々。被写体への愛情にあふれたその写真の数々を目にして涙ぐむイーペイ。そこへ、シャオチュンが戻ってきて、少し後ろの席にそっと座ってスクリーンとイーペイを見つめる。感動したイーペイが次第に声を上げて泣き出す。その顔には微笑が浮かぶ。

劇場の外には兄イーロンとグアンチュン父が待機していた。
「おい、お金掛けたな」
「妹のためならこんなのお安いですよ」
「強がってないか?」
「うらやましいんでしょ?」
「え?バカいうな!」
笑い出す二人。

スクリーンを背にシャオチュンと向かい合って立つイーペイ。突進するように走ってシャオチュンに抱きつくイーペイ。しっかりと抱きしめ返すシャオチュン。

シャオチーのアメリカ出発の日、イーロンが空港まで車で送っていく。浮かない顔をしたシャオチー。
「おい、向こうで迎えは来るのか?」
「局から来るわ」
「おい、外国人だったらどうする?」
「中国局から来るから外国人は来ないわ」
浮かない顔したシャオチーを見てなぜかうれしそうに笑うイーロン。

空港に到着するとそわそわとあたりを探すイーロンはトイレに行ってくるといって空港の外でイーペイとシャオチュンと落ち合う。さらに一人の中年男性がやって来る。

「おい、今日のことで会社クビになったら家族の面倒一生見てもらうからな」
その男性がイーロンに念を押す。
「分かった分かった。俺が一生面倒見るから、さぁ、行こう」

搭乗手続きをするシャオチー。スーツケースを預けるためにカウンター横に置くとそれを取り上げる男性が。驚いて見上げるとグアンチュンだ。
「荷物を間違えてますよ」
「…グアンチュン、出発前にふざけないで」
「いや、本当に間違ってるんだ」

スーツケースを開けてみせるグアンチュン。中身は男性用のカッターシャツと下着類。
「嘘でしょ?私のは?」
あごで向こうを指すグアンチュン。振り向くとグアンチュン父が同じ色の黄色いスーツケースを持ってくる。そして目の前で中身を開くと純白のウエディングドレスが出てくる。

“シャオチュン、俺たちの物語は空港から始まった。君と俺のスーツケースがそっくりで取り違えてしまった。どうして君を好きになり、なぜ付き合うようになったのか、そして別れるようになってしまったのか分からない。でも物語を同じ空港で終わらせたくない。たくさんの思い出が君の心にもつまってるだろう”

空港のアナウンスを占拠(?)して、グアンチュンの声を届けるシャオチュンたち。アナウンスを聞いた人たちが次第に二人の周りに集まってきて取り囲む。

“求婚事務所で依頼された人たちは皆幸せを見つけた。なぜ俺たちは離れることになったんだろう。シャオチュンも幸せを見つめたんだ。俺たちが望んでいたものはみんな叶ったじゃないか。”

二人を囲む輪の中にグアンチュンの父、イーロン、そしてシャオチュン、イーペイの姿もある。

“後は俺と君だけだ。俺たちは二人ともお互いに対して罪悪感を持っていた。相手をつらい目にあわせたくないと思って、身を引いた。でも、別れたことは俺たちの人生の最大の失敗じゃないかな。愛し合ってるなら、俺たちは許しあえるはずだよ。愛し合っているなら幸せになれる。結婚してくれ”

アナウンスにあわせて指輪を差し出すグアンチュン。
「…放送なんかして恥ずかしいじゃない」
「…緊張して、話せないかも…って思って」
「私と話すのに?」
「だって君の答えで俺の…俺の人生が決まるから。モノクロの人生か、カラーか」
「変な例えね!」
「そんな風に言わないでよ」
「ふっ」
「結婚してくれ」
「じゃあ、ひざまずいて言って」
「恥ずかしいよ」
「こんな派手な演出して簡単にはできないわ」
意を決してひざまずくグアンチュン。
「ホァン・シャオチー!俺と結婚してくれ!!頼む!」
「…」
笑顔でうなづくシャオチー。周りから歓声が上がる(終)
posted by 台湾エンタ at 22:33 |  ⇒求婚事務所